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「あの……」
「ひゃうっ…!」
いきなり僕が声をかけたので驚いたのか、頓狂な悲鳴をあげ椅子から転げ落ちると、少女は部屋の隅に移動し、教科書を盾に頭を抱えて縮こまる。なんだか小動物みたいだ。
「いや、別にとって食ったりしないから。あの…僕と組んでくれない? 途中から入ってきたもんだから知り合いいなくて」
「あ……、ヨーイチ・シガラキさん」
どうやら僕のことは知っているみたいで、警戒を緩めてくれたらしい。ちょっとづつ部屋の隅から移動する。教科書は盾にし続けたままだけれど。
少女は恐る恐る椅子に座る。
二人一組ということなので、教科書や何かを持ってきて少女の隣に座ろうとしたが、ひとつ分席を空けて少女は遠ざかる。警戒はまだ完全に解いてはくれないらしい。
まあこのほうがやり易いっちゃやり易いか。
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