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師匠には、積極的に使って、使い勝手を確かめておいた方がいいと言われているけれど、でもそんなことをして話題にでもなったら困る。
僕は帰りたいだけなのだ。だからその方法がわかればいいのであって、別に名声や知名度に……まあ興味がないとは言わないけれど、でも必要ない。前に出るとは誰かを蹴落とすということだ。ならいい。迷惑だ。僕は後ろで構わない。
ちょっとだけ身構えていたが、やっぱり使うのはやめた。それに今は一人じゃない。苦手といっても、協力すればまだ打開策はきっとあるはずだ。
「困ったね、これ──」
話しかけようとして、少女が泣いているのに気がついた。
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