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黒フードを翻(ヒルガエ)す。
金色に染め上げられた髪。緑色のフレームの眼鏡。そして貴族を思わせる豪奢な服装。
あれは間違いない。
「苦節四十と二時間とあとなんぼか前、そうそれは苦難苦難の連ぞk……」
「いやああああああ!」
口上くらい言わせてやれよ。
この世のものとは思えぬ、名状しがたい恐怖に苛まれたチャンタクさんは、悲鳴を言葉にしたような口調で提案する。
「焼き払いましょう! 灰塵に、塵芥にして、もう現世に復活することのないように未来永劫冥府の底に沈めてしまいましょう!」
チャンタク……さん。
焼き払うて、クシャナ殿下ですか。
相当前のことが怖かったんだなあ。
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