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鬼気迫る。
しかしながら鬼の形相とは呼べない。ベクトルは真逆だ。愉悦と恍惚とが渾然一体となり、その表情や気迫はまさに──変態の権化。だというのに戦慄する、恐怖する。見よ、あそこに佇むは、情念の鬼。
「てっきり臆するかとも思ったが、まあいいだろう。そのつもりならば容赦はしない。先に言っておくが、私は紳士だが、フェミニストではない」
女性陣にのみ向けられた気迫。
なんという圧迫感だ。男の僕にでもわかる。おそらくあの男の頭の中では、彼女たちはもうとんでもないことになっているに違いない。心なしか、イカも、いつもよりも、余計に触手の動きが機敏だ。
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