死番虫コラール

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「ちっ」 「ちっ」  ラナ姉妹は悔しがる。  バドのそれはただの回避行動ではなかった。距離を詰めるための好手──イカの触手が伸び、バドへと飛来した小刀をすべて受けきっていた。回避の際に自ら近づき、援護の手を早める。即席とは思えない抜群のチームワークだ。まるでこの触手は身体の一部だとでも言わんとする気概が伝わってくる。 「空中で身動きがとれるかな」  真っ先に狙われた腹いせとでも、バドは言い放つ。  バドを守った触手はそのまま方向を変え──ラナ姉妹を急襲する。  間断無く速度を有した触手は、スピードを維持しラナ姉妹を貫かんと一直線に。彼女たちの跳躍ほどの速度はないものの、それでもその速さは、空中で彼女たちを捉えるには十分であった。
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