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触手の暴風雨。
十本の足が連続してラナ姉妹を囲い込む。それでも彼女たちには届かない。幾重にも交差した怒濤の攻撃、それをかわす彼女たちの技量度量。形容できる言葉が見当たらない。陳腐にも彼女たちの動きに何か表現をつけるのなら、洗練されたダンスのよう。それでいてその発表が、戦場が嬉しくてたまらない。そんな風に、僕は思えた。
バドは傍観する。
「まあ、中々だと誉めてやろうしかし。だが所詮は子供の体力よ、時間の問題──」
「それよりも早く、お前がやられたりしてな」
僕はバドの肩に手を置く。
完全に油断していたバドは、カクカクした動きで後退する。
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