死番虫コラール

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 咆哮。  彼女たちを捕らえた触手の主は、奇っ怪な鳴き声を轟かせる。  歓喜か、失われた足への哀悼か。声に合わせ、彼女たちを緊縛する触手はより強固に、より緊密に、彼女たちの身体中を雁字搦めにする。 「ああっ! くう……、だ、大丈夫ですシガラキさん……、これくらい…………え?」 「……なんの冗談かしらね」 「はあ……笑えない冗談ね」 「これがあれか、服だけ溶かしてしまうという。興味深いな」  感想こそ各々違ったが、今何が起こっているのか──触手から体液が染み出してきたのだ。それは、彼女たちへの攻撃ではない──服を、少しづつ溶かしている。  バドは腕を組み一言。 「絶景!」  ……お前の真っ直ぐさには、逆に敬愛すら覚えるよ。
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