872人が本棚に入れています
本棚に追加
「はあ……、それより軟体動物のやつ、ちゃんとやったかな……」
僕たちの勝利のためとはいえ、さすがに人ひとりを冥土に送るわけにはいかない。だから軟体動物には、仕切りがあったときにこっそり奈落の底に行ってもらって、落下するバドの救助なりを頼んでいた。
ふと奈落の底を覗いてみる。
「こんなとこに落ちたら確実にお陀仏だろ……」
高所恐怖症というわけではないが、しかし足場と足場をつなぐ橋のようなものはない。だからジャンプして飛び乗るしかない。たかだか二メートルほどの隙間だが、それでも人が落ちるには充分だ。あいつらよくこんなとこ簡単に飛び越せるな……。
「どうしたんだい? 行かないのかい?」
「あ、いや……お先にどうぞ……」
「もしかして高いところがダメなのかい?」
「そういうわけじゃないんですけど」
最初のコメントを投稿しよう!