死番虫スケルツォ

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「はあ……、それより軟体動物のやつ、ちゃんとやったかな……」  僕たちの勝利のためとはいえ、さすがに人ひとりを冥土に送るわけにはいかない。だから軟体動物には、仕切りがあったときにこっそり奈落の底に行ってもらって、落下するバドの救助なりを頼んでいた。  ふと奈落の底を覗いてみる。 「こんなとこに落ちたら確実にお陀仏だろ……」  高所恐怖症というわけではないが、しかし足場と足場をつなぐ橋のようなものはない。だからジャンプして飛び乗るしかない。たかだか二メートルほどの隙間だが、それでも人が落ちるには充分だ。あいつらよくこんなとこ簡単に飛び越せるな……。 「どうしたんだい? 行かないのかい?」 「あ、いや……お先にどうぞ……」 「もしかして高いところがダメなのかい?」 「そういうわけじゃないんですけど」
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