死番虫インテルメッツォ

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「逆、ですか」 「そ」  紅茶を、文字通り流し込むように飲む。雅な雰囲気は嘘だった。ああなんだろうこの出鱈目さ。礼儀作法を心得ないのがブームなのだろうか。あの魔女との共通点がまたひとつ見つかってしまった。いや──あいつともか。何かすごい人というやつは、こぞって礼儀作法を学べない呪いにでもかかっているのか。まあその分僕がしっかりするようになってしまったが。  袖で口を拭く。いやもうほんとやめてくれ。僕は、それを使ってくださいとハンカチを差し出した。気が利くじゃないかと言われたが、常識的に身に付けとけよな。クルウさんはハンカチで口を拭くことを覚えた。うん、ちょっとだけ改善されたな。
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