872人が本棚に入れています
本棚に追加
/739ページ
「ちょっと、ごめんね」
そっと、チャンタクさんの両手の上に、僕の手を乗せる。びくっと体を余計に震わせたが、僕が手を支えていたので石に変化はない。
もう少しこのままで。と、なにやら殺し文句みたいになってしまったが耳元で囁くと、赤かった顔がもうゆでダコみたいになってしまった。ヤカンならもう沸騰してしまっているだろう。
まあ冗談はさておき、これで──使う準備は整った。
僕は掌にすべてを集中する。
そして彼女が分解し、探し出した金の構成を感じとる。
「再構築」
と、石を構成していた分子は、一点を主軸に形を変化させ、みるみるとその全容を黄金色に染め上げた。
最初のコメントを投稿しよう!