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「クルウさん!」
「あははは、ごめんごめん。ヨーイチ君てばからかい甲斐があって可愛いからさ、ついね」
僕が強めの口調になって居づらくなったのか、カップを置き立ち上がると、クルウさんは、調度品や古書を眺めながら部屋を歩き始める。
まったく……、これ以上は聞いても無駄だな。あの調子じゃ一日かかっても終わらない。あの魔女との関係性については、一旦置いておこう。それよりもだ、結局のところ、クルウさんの目的はこれで達せられたということでいいのか。
クルウさんの目的は図書館の集客力アップだった。
あの幽霊もこれでもっと積極的に出てくるはずだし、グッズ販売にももっと協力的な後押しをしてもらえる。
だとすると、もう完結してしまった。敗北という形だけれど。
「あの……、クルウさん」
封印されているっぽい剣の引き抜きにかかっていたクルウさんは、僕の呼び掛けに、首だけをこちらに向けて反応する。
「あなたがバドを地下に送っていたのは、勝てる可能性を増やすためだったんですよね」
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