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「言ったろう、あの変態を地下に送ったのは、先に様子を確かめてもらおうと思ったからで、それで忘れてただけだって。あとのことは偶然、偶々の出来事さ」
韜晦(トウカイ)するように、クルウさんは顔をまた剣のほうに戻す。
バドが居たのは決して偶然じゃない。
バドを放り込み、猫耳幽霊と遭遇させたのは、他ならぬクルウさんだ。もしただの気まぐれでそんなことをして、気まぐれで忘れてしまっていただけだとしたら、あの男があちら側に、猫耳幽霊の側について、なおかつこちらが勝利するのに必要な材料になど、なっていることがまず不自然。
考えられるのは。
「勝っても負けてもよかったにしてもです、どうせだったら自分の主導で図書館運営をやりたいってのが人情ってもんでしょう? だからあなたは、無造作に勝つか負けるかわからない試合をしたのではなく、僕たちが参加した時点でもう、勝つ可能性をいくつか鏤(チリバ)めていたんじゃないですか?」
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