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「どうしてそう思うんだい?」
剣を引き抜くのもそぞろに、クルウさんは尋ねる。
「『色眼鏡と盲目、環境と前提、気運とお膳立て』。テテさんが変なことを言っていたんですよ」
テテさんの言葉。
僕に向けられた挑発。
「気になってはいたんですが、最初はただの挑発行為だと思っていました。てっきりそれは、この戦いの結末は、張り巡らされた作為の罠によって自分達の勝ちが保証されているという意味の、僕が何をしても無駄だという、単なる挑発行為だと」
実際にそれは無駄だった。
僕が頑張って考えた程度の作為では、到底及びもしなかった。
けれど、そんなの当たり前だ。
何百回と積み上げられた謀略の庭に、いきなり思い付いただけの作戦なんかが通用するわけがない。
そんなことは当然で、警戒する必要もない。テテさんも油断しまくっていた。
「なら──僕にそれを言う理由がないですよね」
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