死番虫インテルメッツォ

18/40
前へ
/739ページ
次へ
 理由が見当たらない。 「僕やチャンタクさんやラナ姉妹は、ただの『おまけ』。警戒する必要も、挑発する必要もない、ただそこにいるだけの戦闘員です。だからあの言葉は──僕に向けた挑発行為じゃなかったんじゃないかと思ったんです。で、他の誰かに向けたものなのかと考えると答えはひとつです。結局この戦いはすべて──あなたとテテさんとの戦いなんですよ」  僕に挑発する意味はない。  なぜならば僕も関わっていると言っても、発端も原因も目的も結果も、すべてが僕の預かり知らぬところにあるのだから。 「僕らなんてのはただの参加者に過ぎないわけで、テテさんが見ていたのはあなただけだった。だから彼女は、『同じ作為の罠でも自分のほうが上だ』、と言っていたんじゃないか、そう思ったんです」  もしかしたらそれをわかった上で、バドを仲間に引き入れていたのかもしれない。強気なやつだな。まあ、それでも勝ったわけだけど。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加