死番虫インテルメッツォ

24/40
前へ
/739ページ
次へ
 平服するよ。あなたのことは好きにはなれないが、僕は素直に平服する。あなたは、『みたいな』を多用する、あの自分のスタイルを持たない空っぽの幽霊と同程度には策士であって──同程度には、ひとでなしだ。  好きにはなれないが、正直嫌いじゃないぜ。それだって強さのひとつだ。相容れるとか容れないとかはさておいたら、いくつかある成功例のうちの一例として、いつの時代も君臨する力だ。ただし──報復や、評判というものに対して、上等な対応ができる人物に限られた話だけれど。  というか、彼女らの場合は、嘘をついているというよりも、口から出任せを言っている、といったほうがしっくりくるか。それこそ怠惰を極めたあの怠惰なる魔女と同様に。  そうなると、図書館の集客力増加のためという文言も怪しい。  そもそもがだ──クルウさんが図書館などというもののために、頑張る理由などあるのだろうか?  いや、嘘つきだからといって、相手は人間だ。大事なものがないでもないだろう。まったく人様を勝手に貶めるとは何事だ。僕はいつからそんな性悪になったんだ。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加