死番虫インテルメッツォ

26/40
前へ
/739ページ
次へ
 まあ茶化されて帰されるよりましか。  あの文言が嘘でないなら、わざわざこれ以上の徒労をすることもない。もう終わっているのだ。さっさと帰ったって、クルウさんにはもう利益しかない。失敗は僕が重荷を背負えばいいだけで、クルウさんは気にせず帰ることができる。  だから、胡散臭くもあったが、僕にまだチャンスを与えてくれたことには、感謝をしなければならないと僕は思った。  達成できそうな案では決してないけどね……。 「わかりました、それで構いません」  反省モードを解除し、立ち上がる。クルウさんが右手でさっとエスコートしてくれる。なんだか彼女の一挙手一投足には、変に違和感があるな。僕の考えすぎなのかもしれないが。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加