死番虫インテルメッツォ

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 剣の前に立つ。  柄に豪華な装飾、なにやら物語の進行に大きく寄与しそうな宝石があしらわれ、刀身やらにも紋様が入った、見るからに使い手を選びそうな剣。  弱ったなあ。剣を引き抜くのは別にいいんだけど、これができないとなったら、いよいよ帰還モードになってしまうおそれがある。せっかく意思を汲んでくれたクルウさんの好意を無駄にしてしまうのは忍びない。できれば抜けてほしいはほしいが、これが人を選ぶ剣なら、僕が抜ける理由は皆目見当たらない。さっきまでクルウさんがいじくっていたのは見た。それで抜けないのなら、僕にだって抜けるとは思えない。  柄のところに、おそるおそる両手を持っていく。 「いきます」  ゴクリ、と息を飲む。
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