死番虫インテルメッツォ

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 好きに操られてやろうじゃないか。 「よし、やりましょう。これであと『古の碑文』とやらを先に手に入れられたら、僕たちの勝ちですね」 「それならここにあるよ」 「ズルー!?」  ズルいほうも正解だけど、この場合はずっこけるほうが正解。  僕が昭和ずっこけをかましていると、クルウさんは奥から本を一冊持ってくる。  そんな簡単にあっていいのかよ! 普通最深部とかに、やけに仰々しく飾られていたりするもんじゃないのかよ!  さっきから肩透かししかくらってないぞ……。  まあここにあるのなら、万々歳なんだけどなー、なんかなー。 「じゃあこれで僕たちの勝ちに……なんて、なるならとっくにやってますよね」  僕は苦笑い。  クルウさんは、勿論さ、とでも言うように軽く頷く。  かなり眠っていたようで、クルウさんが本の表紙手で払うと、粉塵が舞い上がる。
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