死番虫インテルメッツォ

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 やはり、『古の』と言うだけあって古めかしい。ボロボロで、丁寧に取り扱わなければ、ものの二三秒で塵屑になりそうだ。 「碑文って言うから石碑か何かだと思ったんですけど、本なんですね」 「もともとは石板に書いてあったものだそうだがね。それを解読、翻訳し、現代語に訳したのがこの本だと言われているよ」  クルウさんは説明する。  当然の権利と思って、本に手を伸ばす。しかし、クルウさんは本をすっと持ち上げてかわす。僕の右手は本を追いかけて上に。するとクルウさんは右に。僕の手も右に。クルウさんはターンして、次の瞬間には頭の上に。 「あのすいません、ギャグパートならさっきやったんで、もうお腹一杯です。それとも僕程度の愚民には国宝級のお宝はそう易々と見せられないということですか」  国宝級で見せられないとしたら、そこらへんに置いといて埃まみれはないと思うけどね。
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