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「いや……、あの……見たって大したものじゃないし、これをどうこうしたってアレに影響ないのは確認済みだし、それに見たら……恥ずかしくなるよ」
とクルウさんは締め括った。
恥ずかしいってなんだろう。春画とかそっち寄りかあるいは官能的な。人様に見せるには抵抗がある代物なのか。
「ほんとに見たい?」
「はい」
「ほんとのほんとに?」
「はい」
そんなに出し渋るまでか。
余程醜悪な中身をしているらしい。
「もしかしたらそれで何か活路が見出だせるかもしれないじゃないですか。見ておいて損はないと思いますよ」
仮に中身がどうであれ、この本から幽霊が創造されたのなら、中の文なり何なりから、弱点や欠点が判明しないとも限らない。
僕の言葉に、クルウさんは「そこまで言うのならいいだろう」と、僕に本を手渡した。ただ「心して読むんだぞ」と念を押した。
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