死番虫インテルメッツォ

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 そんな、ただの本だろ。  中身がピンク色だとしても、男の子にはむしろ大好物だ。  別になんてことは── 『〇月×日  今日も右目に眠る第二の人格「邪王神」が目覚めることはなかった。世界は平和だ。  〇月×日  くっ……、危なかった。体育の時間に奴が暴れた。もしあのまま力を解放していたら、誰も生きてはいなかっただろう。  〇月×日  友達はびっくりしただろう。奴はぼくにしか見えないからな。あの時ぼくが光のバリアをつくっていなければ、教室はこなごなに──』 「うわああああああ!」  光の速さで本を閉じた。  真っ黒だった。  真っ黒い歴史が詰まっていた。  こちらの世界だ。もしかしたら本物という可能性もあるが、だって『体育』だもの。『邪王神』だもの。
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