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なんでこんなものが『古の碑文』なて呼ばれてんだよ! せめて例えば『黒の惑う書(データエラー)』とかなんかそれっぽく呼んでやれや!
僕の心の叫びを感じ取ったのか、誰が尋ねるでもなくクルウさんが説明をしてくれる。
「中身は問題じゃない。問題は、長い時を生きてしまったことさ。趨勢を知り、何万何億という人々に触れ、掠れて失われていくその肉体とは相反して、次第に蓄積された『記憶』のような何かが積み重なって、想いを形成し、生きたいという叫びに変化し、それは感情となって本から抜け出ていったんだよ。別に依り代だとかいうことでもないみたいだし。今はあれは、抜け出た魔力の残滓を宿したただの本さ」
中身はともかく、それなら役に立ちそうもないか。でも、もしかすると何かヒントはあるかもしれない。この部屋にいる間だけとのことだったが、クルウさんの了承を得て、少しでも読み進めようと本を借りることにした。
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