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気になることは色々ある。
バドは大丈夫なのか、何故バドはあちら側にいたのか、テテさんの行った天井崩落を怒っていたとクルウさんは言っていた、戦いを行っていた僕らが本物ではないことにテテさんが気づいたのは何故か……、わからないことだらけだ。
「そういえば、もしもの保険にってクルウさんに言われてたアレってどうなったんだ? もしちゃんと機能してたらバドは助かったはずだけど」
僕たちが戦いに参加する際、誰も出場しないとは決めていたが、何があるとも限らない。だからクルウさんが、もしもの時にと『あいつ』に何か頼んでいたようだけれど。
バドの安否を確認するために、僕はメガネを確認した──
ん?
なんだこれ?
なんで『あいつ』があんなとこにいるんだ?
それに僕たちのところへ向かっている影がひとつ──
「ようやく役者が揃ったようだね」
クルウさんは嬉々として言う。
というか、あの時点ではまだ僕が負けることも、もう一度戦いたいと願うことも、決まっていなかったんじゃないのか?
それを見越して、こうなることをわかっていて──用意周到に計画を練っていたのか。
なんて人だよ、まったく。
そして『それ』は通路の奥から現れる。クルウさんはこいつを待っていたのだ。
「一応指示通りやったけどよ。あれでよかったのか?」
丸い影。
耳をつかってぱたぱたと。
──軟体動物は、クルウさんにそう尋ねた。
「勿論だとも」
クルウさんは、開始の合図とでも手を叩く。
「さあ反撃開始だ」
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