死番虫トロイメライ

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 表示を横から縦に変える。足場の端、クルウさんが内側で、バドが外側にいる。  そしてバドを──落とす。 「あぁ……っ」  声にならない。  テテさんは、届かない手を伸ばす。 「大丈夫です。下まで落としたら回収が手間ですから、紐にくくりつけて途中で引き上げる手はずです。まあもっとも、失敗して落ちてしまう可能性もありますが」  横からの表示を見ればわかる、位置を少しだけ下方向に下げ、そしてクルウさんはふたたびバドを引き上げにかかっている。 「とりあえずこれで同点ですね。勝利するにはあと一点必要なんで、まだ油断はできないですが。あとできれば予備用に、もしあの時みたいにまた何か作戦があったとして、ポイントが奪取されないという保証がありません。できれば保険として、まだあと二十ポイントくらい稼いでおきたいところですね」
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