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「こんな……正気の沙汰じゃない」
「いやだなあ、僕は正気ですよ」
テテさんが鬼や化け物を見るかのように僕を見る。その瞳には怒りよりも恐怖の度合いが色濃く出ていた。
心外だなあ。発案者はクルウさんだし、それにただポイントを稼ぐためだけに、あんなことはしないさ。あれはあくまで勝利の一環であって、布石でしかない。目的は──『勝つこと』だ。
この戦いのよくないところは、勝敗が確定する期間を明示しなかったところだ。だから勝ち負けがはっきりしない。どれだけ戦っても勝ちは来ない。だからはっきりっ──『負け』を宣言させる。
負けと認めれば負けだと、テテさんも言っていた。つまりこの戦いは、いかにポイントを取るかではなく、いかに相手に負けを認めさせるかが重要な鍵になる。
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