死番虫フィナーレ

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 遠慮しておきますよ、と僕はお断りをする。  図書館地下崩落から脱出した僕たちだったが、翌日に様子を確認してみたら──なんと全部元にもどっていた。  テテさんも何事もなかったかのように普通にいたし、しかも畳み張りで裸電球に卓袱台があって、新婚四畳半生活はじめました、みたいなそんな雰囲気で、バドとなんだかいい感じに暮らしていた。 「はあ~……」 「にゃはは、ため息なんてついちゃって、ダメだよ。ため息ついたらしわ寄せが来るんだよ?」  なんだよ、しわ寄せが来るって、超こえーよ。 「ちょっとした気疲れですよ。グレアリアさんなんか、帰ってからずっと晩飯コールするんです。ラナ姉妹とチャンタクさんは、僕を好きにできる権限を振りかざしてですね、何か計画してるみたいなんですよ……」 「人徳のなせる技だね!」  そうなのか。  僕の人徳のなさが招いた悲劇か。  なら逃げられようもない。
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