死番虫フィナーレ

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 「さあ、いらはい、いらはい!」と景気のいいクルウさんの呼び込みが、通りを行く人々の足を止める。泣き叫ぶバドを押さえ込みつつ、イカの足を強制的に徴収、新鮮イカ焼きとして販売も開始した。その匂いが鼻腔を刺激し、ふらふらと誘われるように、図書館内の土産屋、新たに図書館の外側に新設した食事処に、人々が雪崩れ込む。その足は止まることを知らなかった。  僕とテテさんは少し休憩をもらい、ベンチに座っていた。 「今回は楽しかったよ」  テテさんは言った。 「バドとも会えたし、みんなとも会えた。こんなに楽しかったのは久しぶりだよ」  にゃはは、と陽気に笑う。  何を暢気なことを。僕がどれほど筋肉痛になったと思ってるんだ。 「楽しかったじゃないですよ、みんな大変な目に……、ん? 『今回は』?」 「そ、今回はね。前回は、んーと、なんだっけ。『ガラスの仮面』だかなんだか風に、オーディションとか、演劇とかやったりね。演技力勝負だね。あとミュージカルとか宝塚とか、色々かな。三番勝負でね、ちなみにあの時は私が勝ったんだよ」
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