死番虫フィナーレ

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 司書様。  すなわちクルウ・トゥラー。  彼女、あるいは第三者によってあの地下空間がイメージされている。  じゃあ。 「あのとき何で光になって消えたりしたんですか。てっきり成仏とかしたものかと思ったじゃないですか」 「だーかーら、お疲れだったんだよ。今日のお勤め終了だったんだよ。で、形を保てなくなったから、ちょっと本来の姿に戻ってただけで」  少し恥ずかしそうに、テテさんは頬っぺたを掻く。  お疲れってあんた……。仮にも何百年とこの図書館に住まう幽霊が、何をやわなことを。  というか何百年といる凄い幽霊だったら、地下の管理者を任されているものなんじゃないのか? 何で他の人が管理なんてしてるんだ?  ……え? いま元の姿って言った? なに? どゆこと? 「テテさんって、何百年といる、噂の図書館の幽霊ですよね」  真顔で尋ねた僕の顔がよほど面白かったのか、テテさんは盛大に吹き出した。 「ぷっ! にゃははは! 私がそんなお年寄りに見える?」
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