死番虫フィナーレ

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「こう見えても50年くらいは生きてるんだよ! 人生の先輩なんだよ!」  テテさんは、そんな風にぷんすか怒っていた。  生きてるっていうか、ほぼ死んでるみたいなもんじゃないか。透けてるし。  テテさんの身の上はよくわかった。けれど、他にもまだ気になることがまだあるわけで。 「テテさんはガラスの仮面というマンガを見たんですか?」  あちらの話題が最近よく出すぎるんだよなあ。なんか、身近な誰かの作為を感じる。 「見たよー」  聞くと、この図書館に蔵書されているらしい。おいおい、そんな簡単にあるのかよ。なんでそんなものがあって、誰がどうやって集めたんだろう。 「あ、そう言えば司書様が言ってたよ。『図書館の亡霊』の話」  亡霊?  幽霊じゃなくて? 「この図書館はね、その亡霊の記憶が積み重なってできた、記憶の集積だとかなんとか。ここにある本はすべて、その亡霊が蓄積した情報そのものなんだって」
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