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フロサンド私営図書館に蔵書された本はすべて──ただ本を読んでいたら集まってしまったのだという。
何代にも渡り読書家の一族が本を集めまくってできた図書館だとばかり思っていたけれど、もしテテさんの話が本当なら、まさかこの図書館に蔵書された数多くの本は誰か一人の──亡霊と呼ばれたその人物ただ一人の偉業によって成し遂げられたというのか。
「その本、持ってこれないですか?」
とりあえず本を見てみないことには始まらない。まず本を確認しなければ。
「あ、知らないんだ」
テテさんは嘲笑する。
「貸し出しは図書館の中だけなんだよー。館外持ち出し禁止。館外に持ち出したら本が消えちゃうんだって、不思議だよねー」
館外に持ち出したら本が消える? 確かにここで本を借りたことがなかったから知らないが、そんな本あるのか?
記憶の集積。
イメージの反映。
もしかして、この図書館は──その誰かが読んだ、本の記憶を表出させた場所、とか?
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