ラダ学園

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「次は地学か」  教室。  年齢でいったら僕は、やっと義務教育の軛(クビキ)から解き放たれ、両翼を目一杯に広げいざ鳥籠から飛び立たん。というような感じなところにいるのだけれど、今僕が座っている場所は、教室というよりは、大学にあるような講堂に近い。  黒板と教卓のある場所から扇状に、段々と座席を高く配置した部屋。黒板は上下に稼働し、座席は数人でひと繋がりである。  システムでいってもこの学園は、やはり高校というよりは大学に似ている。自分で選んで自分で学ぶ。魔法にも性質があり、向き不向きに得手不得手、家柄や才覚もある。それぞれがそれぞれに、自分に何が足りないのかを考え、補うにはどうすればいいのか、それも勉強の内というわけだ。  日本も北欧に倣ってくれていたら、文化の違いにてんやわんやせずに済んだのに。懐かしの祖国を少々恨んだりもしたけれど、それもいい思い出だ。
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