死番虫フィナーレ

13/13
前へ
/739ページ
次へ
 その点、僕はまだまだだ。  一所懸命、作戦を練ってみたり、周囲の有り様から状況を推察してみたり、色々してはいるものの、ほとんどが誰かの掌の上だったり、小さな箱庭の中でのことだったりするのだ。そして僕はそれに気づかない。  地下での戦いだってそうだ。まず、どうしてあそこで、バドが負けを宣言したのか、僕にはまだよくわかっていない。バドの言っていたこともわからないでもないが、だからって勝ちを譲るものか。いやそれよりも、どうしてあの作戦で勝てると、かの司書様は思ったのか。 「だってそのほうが、かっこいいと思うだろ普通」  たまたま通りかかったクルウさんに尋ねてみたら、さも当たり前のように、そう返ってきた。  どこの普通だよ。  僕は諸手を挙げて降参した。  ほんとため息しか出ない。  そうしていると、クルウさんが「サボってないでさっさと働け馬車馬が!」と言ってきた。  はいはいわかりましたよ。  馬車馬のごとく、使われに行きますかね。  僕は伸びをする。  さて。  今日も世界は平和だ。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加