怪人と僕

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 学園八不思議。  幽霊だとか精霊だとか亡霊だとか、なんだかそっち方面とのかかわり合いが強くなってきたなあと思った矢先──僕は、こんどは『怪人』とお知り合いになろうとしていた。  怪人。  というのは、俗に言う『屋上の怪人』のことを指している。  この『屋上の怪人』というのは、その八不思議の中の不思議が一であり、なんでも、遥か空の上から降ってくる大男で、見た人間をどこかへ連れていってしまうのだとか。 「てか、そこは七不思議だろ、なんで一個増やしたんだよ」  僕らからしてみれば、三・五・七が語呂がいい。虹だって七色だ。けれど、南のほうの先住民の方々からすれば、虹は二色だという。それは語呂だとか風習だとかではなく、単に色をそれほど認識していないからで、だからどれだけ色があろうと、彼らには二色でしかないらしい。  まあ何が言いたいのかといえば、七不思議だろうが八不思議だろうが十三不思議だろうが、不思議なことに変わりはないか、ってはなし。
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