怪人と僕

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 眉をひそめて顔を上方へと。少し思い出す仕草をしてから、チャンタクさんは、私もちゃんと知ってはいないのですが、と一言。 「『なくならないボール』はですね、どれだけ片付けても、どれだけ片付けても、ボールなどの用具が残っているっていう話です」 「それってたまにあることじゃないの?」  片付けきったと思っていても、部屋の角にあったりとか、鉄骨に挟まったのが落ちてきたりとか。  たまにだけなら、私もそう思います。  チャンタクさんは言う。 「それが頻繁にあるんですよ。どれだけ徹底的に片付けても、体育館やグラウンドに、必ずと言っていいほど用具が残っているんです。私も見たことがあります。用具室には魔法のかかった鍵が、きちんとかけているらしいですし、よほどの力があるか、内側からでないと用具室には侵入できないはずなんです」  だから、怪人の力で鍵が開けられていると。  にしたって、怪人とやらが、なんでボール遊びをするんだ?
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