怪人と僕

13/58
前へ
/739ページ
次へ
「ふんふんふーん」  やはり上機嫌に、チャンタクさんは鼻歌など歌っている。  猫耳幽霊騒動の一件でもそうだったけれど、チャンタクさんはあまり幽霊というものを怖がったりしなかった。マルミラなんて生まれたての小鹿みたいになってたのに。ああそうか、怪談好きなのか。きっと幽霊とか怪談とか八不思議とか、そういう類いのものに目がないんだ。だからこんなにも楽しそうなのだ。よかった、楽しんでくれて。  となれば、僕も積極的にイベントに参加すべきだよな。チャンタクさんを楽しませるためにも。そのために僕が呼ばれたみたいなもんだし。  僕は提案する。 「チャンタクさん、じゃあ最初に体育館に行ってみない? 例のボールの話だけど、一回確認してみようよ」 「え、あ、はい。じゃあそうしましょっか」  あれ? なんだか生返事だ。  もしかして他に、先に見ておきたいところがあったのかな?
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加