怪人と僕

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 マルミラも、来てくれる気持ちはありがたかったけど、来たら来たで、きっと動けなかっただろうしね。 「あはは……」  ほんと来なくてよかったな。あんなでっかい駄々っ子を抱えて動けるほど、僕たちは丈夫にできてない。  マルミラといえば、最近妙に親衛隊が殺気立ってたんだよな。  ラナ姉妹が僕に権利を行使しなかったのも、このところの親衛隊の動きに理由があったのだと思う。もしかしてマルミラが来れなかったのもそれかな。  今までもそんなことは何度かあった。  僕がマルミラから親切を受け始めたときのこと。隊員の一人が、僕をマルミラから遠ざけようと僕に大怪我を負わせる算段を立てたのである。ある日の放課後、僕を呼び出して、その隊員は計画を実行しようとした。けれど、マルミラがそれに気づき、結果その計画は未遂に終わった。
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