怪人と僕

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 彼女にとって彼らは家族だ。  全ては一人のために、一人は全てのために──家族を守るのに理由はいらない。  マルミラは、犯人を、政府から奪い取った。  家族を守るためなら、どんな障害もいとわない。まあ法律とかそんなことを考えたら、おそらく彼女のたちのしたことは罰せられてしかるべき凶行だったろう。  それが罰せられなかったのは僕と魔女の手伝いがあったから。いや、『僕と』は余計だな。ほとんどのことは魔女の力で、僕の出番はさしてなかった。マルミラはそれに恩義を感じて余計に僕に親切にしてくれるようになったのだが、僕にも責任はあったのだし、それに僕は魔女に頼んだだけで、直接的には僕に感謝する必要もない。これでイーブンだと僕は言った。でもやっぱりマルミラは、どことなく僕に恩義と謝罪とを感じているようだと、ふとそう思うときがある。  ちなみにその犯人はと言うと、今も元気に親衛隊をやっている。
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