怪人と僕

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 幽霊もどき──テテさんはどうやら体育館倉庫に忍び込み、『内側から鍵を開ける』ことによって、夜な夜なこうして運動器具、遊具などで遊びまくっているらしい。ちゃんとクルウさんのお墨付きで、「夜ならばまあいいだろう」ということらしい。位置関係的にも学園は図書館の裏手の山間にあたり、移動時にそれほど衆目を気にする必要はなく、いい息抜きにはなる。だからって許しちゃだめだろ。第一、夜じゃなくたって移動してきてるっぽいぞこいつ。  本来ならこれはクルウさんにしなければならないことかもしれないが、まあいいだろう。  ちょいちょい。  僕はテテさんを手招きする。 「んー、なになに?」  どうやら秘奥義を発動するときが来たようだ。近くまで来たところで、僕はテテさんの耳元で──囁く。 「その歳で猫耳はなあ、……ってバドが言ってたよ」 「うぎゃああああ!」  《絶命言》。  テテはめのまえがまっしろになった。
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