怪人と僕

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 拡散するまでしばらくかかる。  それまではあのままだ。  とりあえずはまずチャンタクさんに、あれは幽霊もどきの仕業だったと伝えなきゃな。  体育館の扉を少し開けて、窓なんかもちょっと開けて、ちゃんと拡散するようにしてから、来た廊下を戻る。  幽霊好きとはいえ、一人っきりにしてしまったんだ、さぞ心細いことだろう。一刻も早く迎えに行かなきゃいけない。僕は、急ぐために走ることにした。  少し進んだところで。 「待った!」  と、人形(ヒトガタ)に戻ったテテさんが立ち塞がる。急いでいたためか、なぜか先程よりも簡素な服装をしていて、イメージの結果なのか、服はボロボロになっていた。どうやら命からがら逃げ切ることができたようだ。息も絶え絶えに、両手を広げ、僕の行く手を遮っている。 「しぶといですね、心配しましたよ」 「悪意と善意が混在してるよ!」  そりゃね、心配もするさ一応。
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