怪人と僕

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「幽霊の正体見たり枯れ尾花」 「ん? なにそれ?」  テテさんが肉体的な脱力をしているように、実は僕も気持ち的にちょっとだけ脱力していた。安堵というのか、落胆というのか、どちらかというと落胆にバイアスがある心持ちで、正直なところ、テテさんへの仕打ちは、気分を害した腹いせであったところが、まあないでもない。 「学園の不思議って言っても、所詮は子供の噂話だよな、って話ですよ」  屋上の怪人だかなんだか知らないけれど、蓋を開ければこんなもんだ。卑近な話になってしまう。すべての不思議にもこんな風に答えが用意されているのかと思うと、少しだけ気が滅入るというものだ。 「ああ学園七不思議でしょ」  とテテさんは言った。 「七不思議? 八不思議じゃなくてですか?」 「八不思議? なにそれ」  どうやらテテさんは八不思議の噂を、自分が不思議の内容になっている噂のことは知らないらしい。  そしてそれとは別に──七不思議を知っていた。おいおい、いくつあるんだよ、不思議すぎるだろこの学園。
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