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「じゃあ僕帰りますんで」
チャンタクさんがここにいないとすると、他にどこか行きそうなところがあっただろうか。テテさんもそろそろ追い付く頃だろうし、そしたら手分けして探してみようか。
階段入り口の方へ進もうと、足元を確認しようとしたところ。
「あ、ちょっと待ってくれるかな」
呼び止められる。
もう用事がないのでさっさと帰りたいんだけどな。少し面倒とは思ったが、ここで会ったも何かの縁だ、むげにするわけにもいかない。
僕は振り返った。
「何でいきなりこんな、正体を話すようなことしたのか疑問に思わないんだ」
暗闇でもよくわかる。
暗闇だからこそよくわかる。
突き出された右手に──光球。
その光は、黒い。
黒い光を放つ球。
口元が、三日月のように微笑んでいるのがわかった。
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