怪盗と僕

11/24
前へ
/739ページ
次へ
「さてと」  弁当箱もちゃんと片付けたし、これで一息はついた。 「本題に入ろうか」  僕は言った。  マルミラはまだフェンスの上から降りてこない。 「あの怪盗とマルミラにはどういう関係があるんだ? マルミラだけじゃなく親衛隊の面々も動いてるところを見ると、余程のことみたいだけど」  子供の喧嘩に親は口を出さない。  すなわち、親衛隊員によるいざこざに、マルミラはすぐ口出しをしたりしない。事後処理や根回しなど、後顧の憂いを残すような真似をしないための手助けこそするものの、直接的な支援はしないのがマルミラ流。  と言えばまあ、情操教育の一貫としては聞こえはいいかもしれないが、組織としてはどうなのだろう。ゆえにいざこざが絶えず、毎日のようにどこかしらで衝突があるようだが、それでいて隊員のみならず町の住民からも慕われているところを見ると、それもまた隊員にとってのいい教育になっているのかもしれない。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加