怪盗と僕

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 かつてそうしたように。  罪を犯した仲間を、司法ごときに委ねて直視しないなんて親として失格だと、マルミラは留置場に乗り込んだ。魔女の介入によって事なきを得たが、それがなければマルミラたちは罪人集団として名を馳せていたことだろう。  マルミラはそういうとこは無鉄砲だから困る。 「仲間を犯罪者から救いたいならよ、自分が犯罪者になっちゃ元も子もないんだぞ。そこんとこだけは履き違えるなよ」  マルミラは「へいへいほー」と気の抜けた返事をして、ゆらゆらと揺れていた。  重々にわかっているという意思表示か、それとも始めから耳を貸す気はないという生返事か。おそらくだけど、後者の色合いが強い気がするんだよな。変なところで意地を張るからなマルミラは。 「さすがにもう前みてえなミスはしねえよ、私もそこまで間が抜けちゃいねえさ」  誰に言うでもなく、自分に言い聞かせるように、マルミラは言った。
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