怪盗と僕

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 まあいいさ。  たとえマルミラが怪盗との切った張ったを日夜繰り広げているのだとしてもだ、昨日のことはその中のほんの一幕にしか過ぎないわけで、もうこれ以上かかわり合いになることもないだろう。  前の一件こそ僕にも原因があったのだし、協力するにやぶさかでもなかったけれど、今回は何の関係もない。マルミラも言っていたが、僕は憐れにも巻き込まれただけの善良な一般市民であるからして、これで終わりだ。友人としてのアドバイスはこれにて終了。マルミラも、状況を説明して、僕自ら遠ざかるようにと勧告しに来てくれたに違いないのだ。 「まあ、適度にやれよ」  他人事と思って。  聞こえは悪いが、人との付き合いなんてそんなものだ。  特に心配も拒絶もせず、ただ僕はいつも通りにまったりと付かず離れずの距離を保ちながら、何かと便利なマルミラとの関係性を壊さないように、壊れたら壊れたでそこまでの友人を淡々とこなすのである。  フェンスから腰を上げようとしたところで、マルミラは妙な含み笑いをする。 「なーんつってな」  脈絡もなく、マルミラは言った。
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