怪盗と僕

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 こんな不可解な状況で優先して気にすべきではないのかもしれないが、学校の制服はスカートなので、勿論マルミラのそれも翻る。  落下時は身体に引っ張られて重力に負けることはなかったが、静止に伴ってスカートのひらひらがふわっと、重力の影響を十二分に受け、降下を開始する。 「おおっと」  まあ、ちゃんとそれは、当然に落ちる前に右手で持ち上げられる運びとなったわけだが。  「期待しちゃった? なんなら直に観賞会でも催そうか」なんて下発言をしながら、また陽気にも笑う。マルミラが下ネタ言うところなんて初めて聞いた。  スカートは綺麗にこちらからは確認できないように持ち上げられている。グラウンド側からは丸見えのような気もするが。  逆さ吊りになったマルミラの視線の高さは、ほぼ僕と同じ。上下こそ逆さまだが、マルミラと視線が交錯する。 「いやいや、やっぱ俺最高? いえー」  なんて空いた手でにやけた顔をおさえながら、マルミラはチャラい発言をする。  あれ?  マルミラの一人称は『俺』だっただろうか。
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