怪盗と僕

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 キール六世。  確かに怪盗だ。 「こうも超人が多いと、安売り感否めねえな」  あのジャンプ界の大御所だって、第二段階だか第三段階だかで飽和してったってのに、それでも人気を博し続けられたってのは、やっぱり凄いことだ。  僕はもうため息も出ない。  飽きたというべきか、それとも疲れたというべきか。いや、お腹いっぱいって感じだな。胃もたれしすぎてもう気持ちが悪い。  どうにでもなれよ。諦め半分、無心半分、辟易を通り越して脱力しながら僕は再びベンチに座った。どうせ逃げられやしない。  それにしても。  こんなに完璧な変装ができるのなら、マルミラの目なんて簡単に曇らせることができそうなもんなのにな。あれかな、気を読んだという例の。いや、そんな単純な気配だの空気感だのすら隠蔽できないようでは怪盗なんてやってられない。  それすらも看破したのか。  いよいよ何者だよマルミラ。
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