怪盗と僕

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「まいいや」  「本題に入ろうぜ」と、冗談に一区切りがついたのか怪盗はやっと話を切り出した。そっちから冗談を始めておいて。自分勝手なやつのようだ。 「そうだな、なんというか、挑戦状だな」  挑戦状。  果たし合い。  ここに来た理由を、怪盗はそう説明した。 「仲介役を頼みてえんだよ、お前に。あいつはお前にはよ……、いやまあそんなのはどうでもいいんだ。とにかく、話をつけられそうなのは現時点でお前だけなんだよ。だからお前から言ってやってくれ、『怪盗キール六世との勝負を認めてくれ』ってよ。それでこの終わりのねえ鬼ごっこをチャラにしようぜ」  よっと、後方に一回転しながら怪盗は着地する。身軽なところもマルミラ機能か。  着地に満足したのか、自分で自分に「よくやったぜ」とか「クールに決まってる」とかのたまう。ここまではっきりとした自画自賛も珍しい。
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