縄跳びと罠

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 僕はマルミラのやったことを嫌だと思った。  決着を他人に委ねるばかりが正解ではないのだと確かに僕も思うけれど、それが自分だけで解決できないときは、遠慮なく誰かに頼ってもいいんだよ。人はもっと人に優しい。  だから僕は頭にきた。  マルミラのやったことは責任の代償行為じゃない。ただの無謀だ。無謀と得策では天と地ほどの差がある。何かを成し遂げたいという気持ちは礼賛されるべきものだけれど、それに実がなければ、パイロットやお花屋さんを夢見る幼少期と同程度に空論だ。  と、思ったようなことを、チャンタクさんは言いたいわけか。  だから怒っている。  ああそうか。  仲間を大事にしていなかったのは僕のほうか。  ぷにぷに。  マルミラが僕の頬を指で刺す。 「だってよ、みんなを守りたかったにしてももうちっと頭つかえやこら」  ぶにぶに。  あれ、ぷにぷにが段々力強さを増している気が。 「あのマルミラさん…、もしかしてマルミラさんも怒ってます?」  笑顔のマルミラ。  笑顔ほど、怖い表情はない。 「考えてみろよ」  怒ってる。  マルミラ怒ってるよ。
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