縄跳びと罠

6/46
前へ
/739ページ
次へ
 まあもっとも、無事にここから脱出できたらの話だけれど。 「さて、どうしてやりましょうか」  どうしてやるか。  すなわち僕の処遇。  僕が拘束された最大の理由は、かの怪盗との一悶着について問い質すことであったが、しかし同時に彼女らの持て余す苛立ちの捌け口を確保するという意味においても、それは有益に作用してしまったわけで。  要するに。  僕は今かなりピンチ。 「なにかこう、人間を辞めたくなる系にでもしようか。例えば……とか」 「ふえっ!? ……そ、そんなことしたら広がって戻らなくなっちゃいますよ!」  チャンタクさんとマルミラは、何やら物騒なことをお話し合いしながら、用具室内を物色していた。広がるっておい、何を拡張する気だ。  僕が怪盗キール六世と決闘をすることは伝えた。彼女たちの気を落ち着けるためにも、形だけでも答えを差し出すのが肝要と判断したためである。  しかし、具体的な内容は伝えていない。日時や試合形式、結果成される約束の如何、また勝算や作戦なんてのも話していない。日時やなんかはさておき、勝算や作戦なんてもの、端からないけど。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加