縄跳びと罠

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 本当ならば、彼女たちの怒りを納めるためにも、疎外感を払拭するためにも、事の次第をすべて打ち明けて、協力なり共闘なりをしてもらったほうが、勝率としても大分いい。別に怪盗からは、一人で来いと言われているわけでもない。  でもそれはだめだ。  許容できない。  仲間への信頼がない行動は、嫌悪する。マルミラのあれだってそうだし、親愛なる僕の幼馴染みのあれだってそうだ。仲間を残し、自分一人で解決しようという行動は、得てして周囲に不快感しか残さない。  だから相手を本当に信頼しているならば、その双肩にかかっていた重責を、半分でもいいし、四分の一だっていいから、分け合えるのが本当の仲間ってやつで、二倍悲しんだり、二倍楽しんだりすればいいのであって、それこそが信頼を相手に伝えるということだ。  そういう話じゃねえんだよ。  正直僕は、みんなをそれほど仲間と思っていないのだと思う。仮に仲間であったとして、どれほど大事があったとしても、それを無遠慮にも分かち合えってしまえるほどに、僕は無神経にはなれない。仲間と思っていないから信じられない。信じられないから仲間とも思えない。帰納的に、演繹的に──詰まるところ僕にはまだ仲間がいない。  だから信頼しない。  彼女たちを、巻き込めやしない。
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